「赤ちゃんが作品鑑賞?」と思われるかもしれないが、まわりの環境に対して感覚や感受性のひらかれた子どもたちだからこそ、できる鑑賞がある。乳幼児の鑑賞会をサポートしている講師(NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会)を交え、小さなお子さんと石川県立美術館で作品(工芸作品)鑑賞を、親子や家族で楽しむ方法をご案内する講座。

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主催者石川県立美術館

「乳幼児の工芸鑑賞」 乳幼児

0才からのファミリー鑑賞会

「赤ちゃんも工芸作品をみる!」

乳幼児から家族で展覧会を楽しむ方法をご案内する、美術館デビュー講座

所要時間全90分

実施対象乳幼児

つくりかた

1

はじめに

はじめて来館の方も多いため、講座開始に皆で「大きな栗の木の下で」を歌い、緊張をほぐす。

2

心の準備

保護者の方向けの、鑑賞前の心の準備として、どんな風に子どもたちに接するかのアドバイス。

3

鑑賞のマナー

鑑賞のマナーは、字の読める子どもたちはじめ参加者の方々に声を出して読んでもらう。

関わり方の工夫で、美術館での鑑賞が、ぐんと楽になりますよ。順番にみなくてもOK。全部見なくてもOK。お子さんの興味ある作品を見つけるつもりで鑑賞しましょう。見つけたらその作品でお話しをしてみましょう。

1~3.うながしの言葉

4

小さい子の作品「見てるよ」サインの例

・じーとみる。

・作品を見ながら楽しげに、手足をバタバタ。ピョンピョン。

・「アー」「ウ-」「ばぶばぶ」などおしゃべり。

5

サイン例

・指をさす。

・手を伸ばし、さわろうとする。

6

・「どんなところがすき?」など作品を介して子どもとの対話を楽しんでほしい。

興味を持った作品には、やさしく応えてあげてください。
「感じる→伝える→応えてもらった」のサイクルを大切に!

4〜6.うながしの言葉

7

講師からインタビュー

子どもたちも自分の興味を持った作品について、講師からインタビューされ、参加者皆さんの前で、堂々とお話し場面もしばしば。

8

保護者の方々も楽しむ

子どもたちの興味を持った作品について、学芸員から専門的な話しを聞き、保護者の方自身も鑑賞を楽しむ。

9

記録に残す

鑑賞した日付の入った展示配置図に、子どもの興味を持った作品やその作品を目にした時の子どもの様子をメモし、記録を残します。

大人が鑑賞すると子どもたちも作品に興味を持ちます。
作品を介して、大人と子どものコミュニケーションの幅が広がるでしょう。

7〜9.うながしの言葉

レシピ

0才からのファミリー鑑賞会

実施者の準備

配布用の鑑賞のマナーや、鑑賞のポイントをまとめた冊子
鑑賞のマナー掲示用
配布用の子どもの鑑賞時の様子記録用紙(展示配置図の形)
鉛筆
バインダー(紐付きで首、肩にかけて提げられるタイプ)
名前シール(肩などにはると邪魔にならない) 

各児童の準備

展示室に身軽になって鑑賞できる貴重品入れのポシェット等

開催を可能にする条件・設備

●実施時期

限定された条件は特にありません。

●実施場所

●講師・ファシリテーター

NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会

●機材等

・展示室近くの簡単な説明ができスペース。
・待ち時間や保護者への説明時の時間用の子どもたちの遊び道具
(ぬいぐるみや布おもちゃ、折り紙やお絵かき道具など)
・ゆっくり話をきけるような、椅子やソファー。

成功させるコツ、ポイント

展示室に入る前に、保護者向けの小さい子と鑑賞する時の心の準備を伝える時間を経て、鑑賞に入っている。展示室での鑑賞のマナーをはじめ、作品を全部見ることや順番にみることの必要性がないこと、また、子どもの興味ある作品を見つける感じで、みつけたらそのことを通して子どもとやりとりするなどの関わり方の工夫を伝える。
鑑賞は、子どもの表情や動きなどにも注目し、そのことを鑑賞メモとして記録する。年齢とともに鑑賞スタイルが変化していくので、この鑑賞メモが子どもの成長の記録として、宝物のような存在になることだろう。

ワークショップの生い立ち

小学生親子の鑑賞講座は、キッズプログラムとして位置づけ、保護者は付き添いというスタンスでなく家族で楽しんで頂くことを大切にしている。講師との出会いで、「赤ちゃんも作品を見る」という新しい世界を知り、それを広め、家族でその時間を楽しんでもらいたいと感じ、開催を続けている。開催してみると、参加者の多くは、美術鑑賞に関心があっても、美術館は小さなお子さんのいる家族にとってハードルが高い場所だということを知る。小さなお子さんをお持ちのご家族のミュージアムスタート講座のような役割も担っていると感じている。

感想

1才3ヶ月の女児(保護者の鑑賞メモより)
漆芸作品(蒔絵や螺鈿)の作品では、キラキラしたものに興味を示し、声を出していた。また、別の漆のいろいろな形の加飾がある作品では、じーっと静かに見つめていた。
参加者
2才8ケ月の女児(保護者の鑑賞メモより)あるガラス作品において、展示室に入るなり足を止めてじっくり見、展示室全体を見終わってから最後にまた、足をとめて見ていた。
参加者
参加して子どもが美術に興味があることをはじめて知った。もっと美術に触れる機会を持ちたいと思った。
保護者
小さい月齢で美術館へ行こうと考えたことが今までなかったが、今回の鑑賞会知り、初めて小さいときでも行っても大丈夫なんだと思った。思った以上に子どもが色々な反応を示してくれていたびっくり!
保護者
子どもの視点に立って鑑賞したのは、初めてで、面白い発見が有り、自分自身が楽しかった。興味を持った作品をメモし、残しておくのは非常に良いなあと思った。
保護者
数回子どもを連れて美術館に来たが、子どもの反応を見ていなかったので、次回からは子どもの反応を楽しみつつ、一緒に鑑賞したいと思う。
子どもと鑑賞するという目線を持つことで、大人も発見があることに気づけて良かった。
保護者
子どもが興味を持った作品で、こちら(保護者)から少し言葉を投げかけると、どんどん子どもが興味を示すことがわかった。親が興味を示すことが大切。
保護者
主催者の美術館側も、赤ちゃんも作品をみることを目の前で体感。その子その子で興味ある作品が違い、またその年齢含めて、その興味を示す行動が違うことに、美術作品は、みんなのものなのだ!と実感させられている。子どもたちの反応に目が離せない、私たち美術館スタッフも開催が楽しみな鑑賞会である。
主催者

主催者情報

0才からのファミリー鑑賞会

「赤ちゃんも工芸作品をみる!」

乳幼児から家族で展覧会を楽しむ方法をご案内する、美術館デビュー講座

メソッドコンテンツ開発者石川県立美術館
講師NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会
イベント名0才からのファミリー鑑賞会
会場石川県立美術館
実施主体#NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会 #石川県立美術館
実施協力団体NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会
実施日2017年11月11日
2017年11月12日
ワークショップ参加人数30人
所要時間全90分
実施対象乳幼児
本ワークショップに関するお問い合わせ先機関名  石川県立美術館
担当部署 普及課
担当者  深山 千尋
TEL: 076-231-7580 FAX:076-224-9550
Eメール: ishibi@pref.ishikawa.lg.jp (石川県立美術館)
伝えたいこと#使い方を知る #次世代工芸ファンを養成する #見分け方を知る #鑑賞力をそだてる
ジャンル#漆芸 #糸 #陶芸 #ガラス #金属工芸 #染織物 #木竹工芸 #その他
対象年齢#未就学児
所要時間#半日・100分以内
キーワード#美術館デビュー講座 #ファミリー鑑賞会 #乳幼児の鑑賞