専門用語をどう英訳したか:紅ミュージアムの例
Niceties of Translating Specialized Content: The Beni Museum Experience
2021年6月24日(木) 開催
SWET+CoJ オンラインZoomトークセッション
SWET/CoJ Talk Shop via Zoom
出演
島田 美季 、八木原 美佳 [紅ミュージアム]
リン リッグス 、ジュリー 隈 [CIC人文社会科学翻訳センター]
モデレーター
岩関 禎子 、坂井 基樹
[ザ・クリエイション・オブ・ジャパン/工芸英訳ガイドラインチーム]
進行言語:日本語
【日 程】 2021年6月24日(木)
【時 間】 10:00a.m.~12:00p.m.(開室9:30a.m.)
【進 行】 前半 座談会 + 後半 質疑応答形式
【参加申込】参加登録要・先着100名様迄
【参加費】 無料
【共 催】
Society of Writers, Editors, and Translators/SWET
一般社団法人 ザ・クリエイション・オブ・ジャパン The Creation of Japan General Incorporated Association/CoJ
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専門用語をどう英訳したか:紅ミュージアムの例
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日本ならではの伝統文化に関する情報を、相手にわかりやすい英語にして伝えたい。そのためには、依頼する側、編集者、翻訳者はどういった協力関係が必要でしょうか?
紅ミュージアムの収蔵品図録をバイリンガルにするために、その時に直面した様々な問題と、それらをどのような協力関係によって解決していったのかを、当事者であるミュージアムの担当者と英訳を担当した翻訳者ならびに編集者にお話をいただきます。具体的な情報の提供や校正の仕方など、私たちも日々直面する問題について、学びの多いお話になると思います。
❖ 今回完成した「紅ミュージアム常設展示図録」はこちらからお求めになれます。
Niceties of Translating Specialized Content: The Beni Museum Experience
SWET/CoJ Talk Shop via Zoom
With Shimada Miki and Yagihara Mika (Beni Museum) and
Lynne Riggs and Julie Kuma (Center for Intercultural Communication)
Moderator
Iwaseki Tomoko and Sakai Motoki (The Creation of Japan General Incorporated Association/CoJ)
Language:This event will be held in Japanese
【Date】 June 24 (Thurs.), 2021
【Time】 10:00–12:00 JST (meeting opens at 9:30 a.m.)
Round table first hour; Q&A second hour
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Specially planned to respond to the needs of local stakeholders and craft organization promoters, this event will be held in Japanese.
How do Japanese-to-English translators and editors present information about Japanese culture—especially when it is very specialized—in an easily understandable, accessible fashion? The experience of translating the catalog for the collection of the Beni Museum [link] in Minami Aoyama, Tokyo in 2020 will give a glimpse of the kinds of problems faced and how they were resolved. The museum introduces the traditional manufacture of rouge from beni (safflower petal) and the history of Japanese makeup/cosmetics from antiquity to the postwar era, along with the culture of the times, the containers used, and the way they were advertised. The catalog includes a detailed list of the 400-some works in the collection.
Shimada and Yanagihara will answer questions about how they worked to enhance the translation and then to edit and proofread their text. Kuma and Riggs will share their perspective as translation-revision and editorial advisors. We hope this look at a specific experience will encourage participants to introduce examples from their own work and specialties and share their experiences in dealing with difficult-to-transmit language.
❖ Copies of the Beni Museum catalog are available at the museum.
紅ミュージアムとは
紅ミュージアムは、江戸時代から続く最後の紅屋・伊勢半本店が運営する資料館です。文政8年(1825)に日本橋で創業して以来、紅花の花びらの赤色色素を原料とした「紅」を当時の製法そのままに作り続けている紅屋として、当館では紅花の生産・流通、紅づくりの様子や販売活動、紅にまつわる習俗、そして縄文時代から昭和30年代までの日本化粧史をご紹介しています。玉虫色に輝く化粧料「小町紅」のお試し付けも体験いただけます。また、日本伝統の「紅」を守る立場から、同じように日本の技を後世につなぐ若手伝統工芸作家紹介の企画展示を定期的に行うほか、小学校〜大学に訪問し紅に関する講義を行うなど教育普及事業にも力を入れています。
登壇者紹介
島田 美季/Shimada Miki [紅ミュージアム]
2009年伊勢半本店に入社。以来、紅の文化を後世に伝え残すための活動に携わる。前職は外資系メーカー勤務だったが英語は不得手。留学経験なし。TOEICスコアは十数年前で680点。現職になって全く英語に関わらなくなり英語力が低下している中、このたび常設展示図録英文解説担当となる。前職時代、定型文ながら英語メールやチャットのやり取りを日々行っていたことから、英語に対し、聞けない、話せない、書けない、けれども読む場合は「なにか違う気がする」の感覚を多少取得しており、今回の図録制作ではその感覚が、人文社会科学翻訳センター様に翻訳チェック依頼をするきっかけとなった。
八木原 美佳/Yagihara Mika[紅ミュージアム]
紅ミュージアムエデュケーター。北杜市立明野歴史民俗資料館(山梨)、川崎市市民ミュージアム(神奈川)での勤務を経て、2015年より現職。
紅ミュージアムがテーマとする、「紅」や日本の化粧の歴史文化について、年齢や性別、言語の違いや障害の有無に関わらず、関心を持っていただき、学びの機会を提供できるよう、教育プログラムや出前授業など、教育普及事業の立案・運営を担当している。
業務の中では、外国人来館者の対応や、英訳及び英訳確認などで英語に携わるが、作成した英文が、読んだ外国人の方へどのような印象を与えるか(語調が一定であるか、不自然な言い回しはないか等)、自分では判別がつかない点が悩みである。TOEICスコア790点。
リン リッグス/Lynne Riggs[人文社会科学翻訳センター 翻訳家・エディター]
アメリカ出身。1976年より、主にノンフィクションの和英翻訳・英文編集を行っています。1990年に人文社会科学翻訳センターを共同設立。同時に、SWETの設立メンバーとして、SWETニュースレター(2004–2012)の編集、ウエブ記事の編集(2014–)等の活動を通して、人的ネットワークの育成に努めてきました。学問的な領域とともに、近年は青森、石川、茨城の観光案内、竹中工務店の機関誌Approachの記事、岐阜県美術館やMiho Museum(仏像・神像、狛犬、茶釜、茶杓、蒔絵等)の図録の翻訳を中心に、日本文化の専門的内容を英語で伝える工夫を、日本人の同僚、お客様と協力しながら模索しています。
☆Society of Writers, Editors, and Translators/SWET 公式HP
ジュリー 隈/Julie Kuma[人文社会科学翻訳センター 翻訳家]
カナダ出身。1970に来日。40年以上日英翻訳業に携わり、主に国内社会経済、時事問題、労働経済、日本文化、観光などの分野で活躍。NHK放送文化研究所調査報告書、特定非営利活動法人理事長演説、『沢の屋は外国人宿―下町・谷中の家族旅館奮闘記』 澤 功 (著) など翻訳文献多数。
モデレーター
岩関 禎子/Iwaseki Tomoko[ザ・クリエイション・オブ・ジャパン(CoJ)]
「100年のちの工芸のために」という視点からいま私たちが取り組むべき課題に向かう社団法人ザ・クリエイション・オブ・ジャパン(2013年〜)の専務理事兼事務局長。工芸用語の多言語化の現場で起こっている困惑の数々に触れ、同僚の坂井が問題提起したことで2017年よりはじまった工芸英訳ガイドライン整備事業。そこで主に関係者内の調整、日本全体の現状調査および事業の進行管理を担当。金沢市の伝統工芸三分野の対訳表づくりを手がける。(かなざわ工芸英訳ガイドライン「加賀象嵌編」)
本業は美術商で、英語力は、TOEIC755点、読解・作文×、会話は小学生レベル、もしくはそれ以下。工芸関連語句の意味調査や訳語事例調査では、英語よりも日本語の難解さ(言い換えや漢字の異なる読みの多さ、意味が曖昧なまま使っている、等)に向き合う日々。
モデレーター
坂井 基樹/Sakai Motoki[ザ・クリエイション・オブ・ジャパン(CoJ)]
一般社団法人ザ・クリエイション・オブ・ジャパンの常務理事。本業では、やきものをはじめとする工芸や建築に関する本およびWebサイトの企画・編集を行う。図録編集の際に、同じ作品なのに展覧会や美術館ごとに英訳語が異なることや「ネイティブが言っているから」「国立〇〇館でこうなっているから」という決め台詞に納得のいかない経験を多数経て、「一つ超えた大きな視点からでなければ、この問題は解決できない」と実感。いつも以上に今回は隠したい外国語学部卒業のためアルファベットを読むのは苦手ではないこと(ただし、ヒアリングはからっきし)、また重箱の隅をつつく職業病により、こことあそこは違っている、くらいは把握できる。ただし、それではどの表現がよいのかと言われると全く自信がもてないレベルの英語力。