絶滅危惧の素材と道具

絶滅危惧の素材と道具 活動報告

2017年度の活動

2017年石川・金沢にて開催の「21世紀鷹峯フォーラム」では、以下の二つの事業を実施します。

1.  絶滅危惧の素材と道具 「廃業される方の道具や素材を託せる施設案の研究会」
和装産業実態調査(京都府)によれば、あと数年先に廃業を予定していると答えた方が圧倒的な数となっています。近年の国内需要の壊滅的な落ち込みと担い手不足により、ものづくりを支える貴重な道具の提供者が廃業を決意しています。このことはつくり手が現在当たり前のように電話一本で手に入っていたものが、向こう数年後には不可能になることが予想されます。一旦途絶えたものは、復刻に大きなエネルギーを要するものです。廃業した後も道具や素材を処分しないまま残されていることがありますが、これらを一つの資源と考え、直接の後継者ではないものの、国内にいる次世代の後継者・つくり手が使うことができる仕組みを考えていきます。

これまで後継者とは子息や弟子・従業員でしたが、日本全体を工芸の一つの工房とみなし、やる気のあるつくり手であれば後継者として道具や素材を使うことができる、という構想です。この構想の実現のために、巨大な倉庫機能をもつ施設、廃業した方が技術の指導者となり伝承できる場、工芸に使うことを目的にして協働で育成する森や林、共同工場を兼ねた、工芸関連の産業廃棄物を集約する場などをどうつくり上げ、運営できるのかをあらゆる異業種の智慧を活かして立案するための研究会を開催します。

2. 絶滅危惧の素材と道具 −「次代へ繋ぐための伝える動画制作」
昨年までの研究会から導かれた成果を、今年は具体的に伝える努力をしていきます。
「次の担い手を探すため、もしくは継続展開し技術伝承可能な施設を探すための動画」を制作し、公開していきます。

工芸においては熟練による高い技術とは逆に、単純だが時間を要する作業によって生まれるものがあります。こうした作業を、社会に関与し意味のある仕事を求める高齢者施設及び障がい者支援施設や更生協会、さらには小学校・中学校においても、若い人がこうした作業の担い手になってもらうことが可能かもしれません。動画を見た人たちが、「これならば自分でもできる」「手伝いをしたい」と思うものを制作していきます。工芸を残すための活動に参加する意義を感じていただけるような、現代の担い手をつくる、ハウツー(How to)動画orエントリー動画を5本ほど制作し公開していきます。

*日時などの詳細については、決定次第CoJ webサイト、Facebook でお知らせいたします。